Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にんげんさんすいずまき

人間山水図巻

吉川 英治

Leggi 人間山水図巻 (にんげんさんすいずまき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.343 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

公綽は、役所から警吏を連れて行って、直に、十二箇の柩をかついでいる男たちを捕縛してしまった。後、棺を破ってみると米がいっぱい詰込んであった。いう迄もなく、これは穀物禁輸の布令を破って、隣県に米を流し、巨利を獲ようと計った闇屋たちだったのである。

著者の公綽は、どうしてこれを一見して観破したかを、その書では、得意な民治体験として記しているのであるが、いま蕭照の空腹にとらわれている頭をかすめたその記憶からは、まったく質の異るものが考えられていた。

『おい、待て』

彼は、駈け戻って、やにわに、葬式の前に立ちふさがり、

『お前達は、闇屋だろう、棺を下ろせ、棺の中は、米にちがいない』

と、御林軍以来、久しく忘れていた声を出して、脅しにかかった。

すると、柩のそばにいた男が歩いて来て、彼の肩を打ちながら笑った。

『蕭照じゃないか、よせよ、そんな真似は』

『やあ……』と、蕭照は忽ち悪党ぶッた見得を失って、どぎまぎと相手の顔を見まもった。

『……おどろいたね、君か』

『君かもないものだ、御林の旧友を、恐喝するやつがあるものか。北宋は亡び、金の南宋となって、年号も建炎二年と革まったが、おたがいが流亡してからでも、考えてみろ、まだ一年と少しか経っていやしないじゃないか。