Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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イタリアのことう

伊太利亜の古陶

宮本 百合子

Leggi 伊太利亜の古陶 (イタリアのことう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.477 caratteri · 31 schermate

Aozora Bunko

日下部太郎の老眼鏡をかけた顔には、歓喜と追想とがごっちゃになって照り輝いた。彼は皿を置き、情に迫った声で云った。

「思いがけないものを拝見した。失礼ながらこれ程のものがお手元にあろうとは思いませんでした」

彼はカフスの奥から純白な麻の手巾を出した。そして、眼鏡を脱し広い額やうるんだ眼を一どきに拭き廻した。

高畠子爵は充分の満足を湛えた落付きで日下部の傍に立ち、しっとりと重い袂をゆすって葉巻の灰を落した。

「それ程に買って貰えれば私も大満悦です。――これには一つ插話があるのでね」

子爵は皿についていたあるかないかの塵を指先でとった。

「日本にはまだ真物のマジョリカ、まして、ジョルジョの作なんか恐らく一点も来ていますまい。ざらな商人の手に負えないからでしょうな。これは一昨年巴里に行った時、羅馬まで遠征して掘り出して来たのです。

ほら、あのサン・ピイエトロからずうっと右よりに行った処にある万神殿ね、あの横通りをぶらぶら歩いているうちにふと穢い婆さん一人で店番している処で見付けたのです。――勿論羅馬に行ったのも、その蠅の糞だらけの飾窓に怪しげなマリアの木像と並んでいる皿が目に止ったのも悉く偶然です。