Classici giapponesi con furigana
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はくしゃくのかんざし
伯爵の釵
泉 鏡花
Leggi 伯爵の釵 (はくしゃくのかんざし) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.403 caratteri · 39 schermate
劇壇の女王は、気色した。
「いやにお茶がってるよ、生意気な。」と、軽くその頭を掌で叩き放しに、衝と広前を切れて、坂に出て、見返りもしないで、さてやがてこの茶屋に憩ったのであった。――
今思うと、手を触れた稚児の頭も、女か、男か、不思議にその感覚が残らぬ。気は涼しかったが、暑さに、いくらか茫としたものかも知れない。
「娘さん、町から、この坂を上る処に、お宮がありますわね。」
「はい。」
「何と言う、お社です。」
「浦安神社でございますわ。」と、片手を畳に、娘は行儀正しく答えた。
「何神様が祭ってあります。」
「お父さん、お父さん。」と娘が、つい傍に、蓮池に向いて、(じんべ)という膝ぎりの帷子で、眼鏡の下に内職らしい網をすいている半白の父を呼ぶと、急いで眼鏡を外して、コツンと水牛の柄を畳んで、台に乗せて、それから向直って、丁寧に辞儀をして、
「ええ、浦安様は、浦安かれとの、その御守護じゃそうにござりまして。水をばお司りなされます、竜神と申すことでござります。これの、太夫様にお茶を替えて上げぬかい。」
紫玉は我知らず衣紋が締った。……称えかたは相応わぬにもせよ、拙な山水画の裡の隠者めいた老人までが、確か自分を知っている。