Classici giapponesi con furigana
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しゅじゅのことば
侏儒の言葉
Leggi 侏儒の言葉 (しゅじゅのことば) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.003 caratteri · 73 schermate
聴き給え、高い木木の梢に何か寝鳥の騒いでいるのを。鳥は今度の大地震にも困ると云うことを知らないであろう。しかし我我人間は衣食住の便宜を失った為にあらゆる苦痛を味わっている。いや、衣食住どころではない。一杯のシトロンの飲めぬ為にも少からぬ不自由を忍んでいる。人間と云う二足の獣は何と云う情けない動物であろう。我我は文明を失ったが最後、それこそ風前の灯火のように覚束ない命を守らなければならぬ。見給え。鳥はもう静かに寐入っている。羽根蒲団や枕を知らぬ鳥は!
鳥はもう静かに寝入っている。夢も我我より安らかであろう。鳥は現在にのみ生きるものである。しかし我我人間は過去や未来にも生きなければならぬ。と云う意味は悔恨や憂慮の苦痛をも甞めなければならぬ。殊に今度の大地震はどの位我我の未来の上へ寂しい暗黒を投げかけたであろう。東京を焼かれた我我は今日の餓に苦しみ乍ら、明日の餓にも苦しんでいる。鳥は幸いにこの苦痛を知らぬ、いや、鳥に限ったことではない。三世の苦痛を知るものは我我人間のあるばかりである。
小泉八雲は人間よりも蝶になりたいと云ったそうである。蝶――と云えばあの蟻を見給え。