Classici giapponesi con furigana
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いだいなるゆめ
偉大なる夢
江戸川 乱歩
Leggi 偉大なる夢 (いだいなるゆめ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 117.988 caratteri · 234 schermate
煙突事件から二十日ほど後のある夜更けのこと、南京子はただ一人別荘の庭の芝生に佇んで、物思わしげに月を眺めていた。空には雲の影さえなく、満月に近い月が寒々と輝き、前面の山々に異様な隈を作っている。あたりは溢れるような虫の声、遙かに谷川のせせらぎの音、荒寥たる秋の夜景である。
憲兵の見張りは、この夜更けにも任務を怠らず、芝生の彼方にクッキリと黒い影を引いて、靴音も立てず、灰色の幻のように往き来しているのが眺められた。
「京子さんじゃない」ハッとして振り向くと、月光の中に新一の白い顔が浮き上って見えた。
「マア、新一さん、あなたも眠れませんの」
「妙に目が冴えて寝つけないので、少しその辺を歩いて見ようかと思って」
「あたしもですわ。何だか胸騒ぎがして、床の中に入る気になれませんのよ」
「怖いような月夜ですね」
「エエ、怖いような……」二人はゾッとしたようにお互の目を覗き合った。
「あすこに憲兵さんがいます。裏の方にもう一人見張り番をしている筈です。何も怖いことはありません」
「エエ、それは分っていますわ。でも……」
京子はそのまま言葉を切って、静かに歩き出した。まだモンペ姿のままである。