Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちゅうとう

偸盗

芥川 竜之介

Leggi 偸盗 (ちゅうとう) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.934 caratteri · 97 schermate

Aozora Bunko

「そりゃ、女夜叉かもしれないわ。ただ、こんな女夜叉にほれられたのが、あなたの因果だわね。――まだうたぐっているの。じゃわたし、もう知らないからいい。」

沙金は、こう言って、しばらくじっと、往来を見つめていたが、急に鋭い目を、次郎の上に転じると、たちまち冷ややかな微笑が、くちびるをかすめて、一過した。

「そんなに疑うのなら、いい事を教えてあげましょうか。」

「いい事?」

「ええ」

女は、顔を次郎のそばへ持って来た。うす化粧のにおいが、汗にまじって、むんと鼻をつく。――次郎は、身のうちがむずがゆいほど、はげしい衝動を感じて、思わず顔をわきへむけた。

「わたしね、あいつにすっかり、話してしまったの。」

「何を?」

「今夜、みんなで藤判官の屋敷へ、行くという事を。」

次郎は、耳を信じなかった。息苦しい官能の刺激も、一瞬の間に消えてしまう。――彼はただ、疑わしげに、むなしく女の顔を見返した。

「そんなに驚かなくたっていいわ。なんでもない事なのよ。」

沙金は、やや声を低めて、あざわらうような調子を出した。

「わたしこう言ったの。わたしの寝る部屋は、あの大路面の檜垣のすぐそばなんですが、ゆうべその檜垣の外で、きっと盗人でしょう、五六人の男が、あなたの所へはいる相談をしているのが聞こえました。