Classici giapponesi con furigana
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ちゅうとう
偸盗
Leggi 偸盗 (ちゅうとう) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.934 caratteri · 97 schermate
ただ、どうにかこうにか、覚えているのは、物心がついてからのちの事ばかりである。そうして、それがまた、覚えていないほうがよかったと思うような事ばかりである。ある時は、町の子供にいじめられて、五条の橋の上から河原へ、さかさまにつき落とされた。ある時は、飢えにせまってした盗みの咎で、裸のまま、地蔵堂の梁へつり上げられた。それがふと沙金に助けられて、自然とこの盗人の群れにはいったが、それでも苦しい目にあう事は、以前と少しも変わりがない。白痴に近い天性を持って生まれた彼女にも、苦しみを、苦しみとして感じる心はある。阿濃は猪熊のばばの気に逆らっては、よくむごたらしく打擲された。猪熊の爺には、酔った勢いで、よく無理難題を言いかけられた。ふだんは何かといたわってくれる沙金でさえ、癇にさわると、彼女の髪の毛をつかんで、ずるずる引きずりまわす事がある。まして、ほかの盗人たちは、打つにもたたくにも、用捨はない。阿濃は、そのたびにいつもこの羅生門の上へ逃げて来ては、ひとりでしくしく泣いていた。もし次郎が来なかったら、そうして時々、やさしいことばをかけてくれなかったら、おそらくとうにこの門の下へ身を投げて、死んでしまっていた事であろう。