Classici giapponesi con furigana
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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
Leggi 光り合ういのち (ひかりあういのち) di 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.439 caratteri · 263 schermate
父は別人になったかと思われた。何かに憑かれたように、我を忘れていた。そうした父の空気に同化するまでには、私たちきょうだいは骨が折れた。
まわりの人たちは皆父をうまいと言って讃めた。語り終った父は、いつものなりになって、皆の所にやって来て挨拶した。いかにも幸福そうであった。
私たちはだんだんそうした空気になれた。浄瑠璃の芸題も姉たちは殆んど皆覚え、あの段ものの、切れ切れな場面を語るのに、あれはどうした筋で、ああ見えても似せ首なのだとか、本当は腹を切って来ているのだとか、あのお姫さまは捨て児だったのだとか、何でも知っていて私に話してくれるのだった。
私の文学の素地、その根本基調はたしかに浄瑠璃から来たものだ。私の感情教育、美的教育はその義理人情のムードと共に浄瑠璃によって養われたものだ。私の父は自分がそのムードの中に生きつつ、それを子たちに伝えたのであった。私はこれを悔いる気はない。むしろ感謝している。浄瑠璃はその感情のインテンシチーの深さ、美的幻影の濃醇さ、道義的操持の強烈さ、ものを理窟で見ず、機微でとらえる生命感、すべてを永遠なる生滅の法の光りの下に見る宗教的観照の背景等に於て、人間性のあるべき健康なるわだちの上にあるものだ。