Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate

Aozora Bunko

頼正の顔は顰んで来た。

「確かなところは解りませんな。……とにかくもう少し西南寄り、神宮寺の方で潜って見やしょう」

「そうか。よし、船を廻せ!」

頼正は漕ぎ手に命を下す。

ギーと艪の軋る音がして、船隊は船首を西南に向けた。若殿のご座船を先頭にして神宮寺の方へ進んで行く。

見ていた湖岸の連中は、ここでまたひそひそと噂し出す。

「神宮寺の方へ行くようだね」

「これはどうも物騒千万、死地へ乗り入ると同じようなものだ」

「死地に乗り入るは大袈裟だが、どうも少々心なしだな」

「水狐部落の巫女どもに悪い悪戯でもされなければよいが」

「あいつらと来たら無鉄砲だからな。ご領主であろうと将軍様であろうと、そんな物には驚きはしない」

「何か事件が起こらなければよいが」

「そうだ、何か悪い事件がな」

「あの濶達な若殿様が、そのためご苦労するようではお気の毒というものだ」

船隊はその間に岬を廻り、すっかり視野から消えてしまった。

一七

若殿のご座船を先頭に、二十隻の船は駸々と、湖水の波を左右に分け、神宮寺の方へ進んで行ったが、やがて目的の地点まで来ると、頼正は扇で合図をした。