Classici giapponesi con furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate
頓に城下は寂れ返り諏訪家の武威さえ疑われるようになった。
しかるに若殿頼正は依然として城を抜け出してどこへともなく通って行く。そうして日に夜に衰弱する。祟り! 祟り! 水狐族の祟り! いったいどうしたらよいのであろう!
この奇怪な諏訪家の噂は、伊那の内藤家へも聞こえて来た。
ある日、駿河守正勝は鏡葉之助をお側へ召したが、
「気の毒ながら諏訪家へ参り、妖怪見現わしてはくれまいかな」さも余儀なげに頼んだものである。
「は」と云ったが葉之助は迷惑そうな顔をした。
「諏訪家と当家とは縁辺である。聞き捨て見捨てにもなるまいではないか」
「他に人はござりますまいか?」
「そちに限る。そちに限る。何故と申すに他でもない大鳥井紋兵衛を苦しめた得体の知れなかった妖怪も、一度そちが見舞って以来姿を潜めたというではないか。そちに威徳があればこそだ。私から頼む、参ってくれ」
「いかなる名義で参りましょうや?」
「当家からの使者としてな。若殿頼正の病気見舞いとしてな」
「やむを得ませぬ、ご諚かしこみ、ともかくも参ることに致しましょう」
「首尾よくやれば当家の名誉。諏訪家においても恩に着よう。