Classici giapponesi con furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate
やがて日が暮れ夜となり、その夜が更けて深夜となった。審かる家人を尻目に掛け、葉之助は宿を出た。
湖水に添って田圃路を神宮寺村の方へ歩いて行く。
間もなく水狐族の部落へ来たが、以前来た時と変わりなく家々は森然と寝静まり、犬の声さえ聞こえない。
「よし」
と呟くと葉之助は、木蔭家蔭を伝いながら、久田の姥の住居の方へ、足音を忍んで寄って行った。
広い前庭までやって来た時彼はハッとして立ち止まった。
幽かな空の星の光にぼんやり姿を照らしながら四、五人の人影が蠢いている。コンコンという釘を打つ音、シュッシュッという板を削る音、いろいろの音が聞こえて来る。何やら造っているようである。
「はてな?」
と葉之助は怪しんだ。で、一層足音を忍ばせ、暗い物蔭を伝い伝い、彼らの話し声を聞き取ろうと、そっちの方へ寄って行った。
何やら彼らは話し合っている。
「どうしたどうした、まだ出来ないか」
「節があるので削り悪い」
「いいかげんでいい、いいかげんでいい」
シュッシュッという板を削る音。
「釘をよこせ、釘をよこせ」
「おっとよしきた、それ釘だ」
コンコンという釘を打つ音が、夜の静寂を貫いて変に陰気に鳴り渡る。