Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate

Aozora Bunko

「どうしようどうしよう悪戯っ子! 妾あの方に自分の年を十八だって云って置いたのよ!」

二人の姉弟は腹を抱え面白そうに笑ったが、その心地よい笑い声は森や林へ反響し二人の耳へ返って来た。

七

牛丸は部屋の中を見廻したが盆に高く積まれてある秋栗の山を見付けると、

「姉さん誰かお客さんがあったの?」

「ああ、あったよ岩太郎さんがね……」

「ああそう、あの人はいい人だねえ。俺らあの人大好き。多四郎さんのようにお洒落でなく、それに部落の人だからね。……何故早く岩さん帰ったんだろう?」

「憤って帰って行ったんだよ」

二人はちょっと眼を見合わせたがそのまましばらく黙っていた。

林から林へ移って行く小鳥の群が幾度となく二人の前を過ぎて行った。風もないのにホロホロホロホロと紅葉が庭へ降って来る。草叢からピョンと飛び出して峰の方へ颯と走って行ったのは栗色をした兎である。ケーンケーンと森の奥から雉の啼き声が聞こえて来る。時々雹でも降るかのように林の中から聞こえて来るのははぜた大栗が転がり落ちるのである。

事のない時の部落の光景はまことに平和なものである。

「や、来たらしい。