Classici giapponesi con furigana
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むいかづき
六日月
岩本 素白
Leggi 六日月 (むいかづき) di 岩本 素白 (いわもとそはく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2584 caratteri · 5 schermate
、その場所も此処からはさして遠くはない、その曲の「九つ心も恋路の闇にくれ羽鳥――」とかいう辺りの面白い三味線の手を思い浮べて居ると、道のほとりの然るべき構えの家から、ピアノの音が漏れて来る。それも此の楽器特有の潮の湧き起るような荘重なのではなく、稽古でもして居るらしく、唯たど/\しくぽん/\いうだけの音である。急に夢が醒めたような気になって、なお歩いて行くと俄に道がガランとして、だだっ広くなってしまった。夜目で分らないが、家を取払って道でも広くしたような風に見える。で、左へ曲って、今度は高台寺下の通りを再び祇園の方へ引返す。
此処から南へ清水へ行く通りは、まことに閑かな趣のある所である。昼ならば蘭の花漬け、芹の味噌漬け、柚味噌の看板の出て居る円徳院の門も、夜なので暗く静かにひそまり返って、東側の高台寺は高い石段の奥深く、更に又この静かな町からも遠く離れて眠って居る。この通りの西側に、洒落た格子の門構えは陶工永楽の住居。門は鎖して居るが、塀越しに見える庭に面した障子に、ともし火の影がほの黄色く浮んで懐かしい。塀のそと、溝のほとり、もうすっかりす枯れた虫の声が繁く、唯ひそやかに夜更けのような気配は、無論昭和の今ではなく、といって又其の前の大正でもなく、遠く明治の昔に始めて私がこの都を訪れた頃と、さしたる変り