Classici giapponesi con furigana
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きかくとさんぞくととのさま
其角と山賊と殿様
山本 周五郎
Leggi 其角と山賊と殿様 (きかくとさんぞくととのさま) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4948 caratteri · 10 schermate
烈火の篝に形相変じて、今にも悪鬼に化するかとばかり、そのままの地獄図絵だった。
「はははは、よいざまじゃな」
頭領はあざみ笑いながら盃をあげた。
「裸の男、どうだ、よい心地であろうが、貴様もすぐにあのようにしてやる、ま酒でも参るが宜いぞ」
手下共は女を急きたてて、其角の前へ酒と山海の珍味を並べ、厭がるのを無理強いにぐんぐん呑ませた。
「ところで裸坊主、我らの慈悲として、気に入った芸をして見せる者は、生贄の責を免じてやる定だが、貴様何か芸はできるか」
「はい」
其角は顫えながら、
「私は俳諧師でございますから、俳諧をよむことはできますが、外に芸と申しまして別に何も――」
「俳諧――? 俳諧とは何じゃ」
「深く説明致しますとむつかしゅうございますが、発句の例をとって申しますと、十七字の中へ森羅万象を詠みこみまするもので、和歌よりやや狂体に転じた一種の――」
「面白い、それをひとつやって見ろ、気に入ったら生贄を免じてやるぞ」
「はい」
其角は溺れんとして藁を掴んだ気持、膝を正して句案にかかった。しかし先刻から顛倒している心気は頓に鎮まらず、なかなか名句が浮んでこなかった。