Classici giapponesi con furigana
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くらのすけるす
内蔵允留守
山本 周五郎
Leggi 内蔵允留守 (くらのすけるす) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.082 caratteri · 24 schermate
彼は若かった、しかし二十五歳になる今日まで、武道一筋に修業してきたため、曽て女性というものに意識を奪われたことがない、それがいま沸然と、心の底に鮮やかな血の動きを感じたのである、尤もそれは極めて短い刹那のことだった、生れてはじめて呼び覚まされたその新しい感動に気づくが否や、虎之助の脳裡にはまざまざと閑右衛門老人の眼が映った。快く二人づれで外出することを許した老人は、なにを考えていたろうか。いけない。虎之助は水を浴びたように、拳を握りながら立ち上った。
彼が水を浴びたように感じたのは、然しもっと別の感覚からきたものだったかも知れない、それは虎之助が立ち上ったのと殆んど同時に、とつぜん四五人の人影が二人の前へ殺到して来たからである。慥かめるまでもなく、それは神谷小十郎はじめ例の五人の浪人たちだった、虎之助は娘をうしろに庇った。
五人は二人の前に半円を作って立った。
「ふん……」神谷小十郎が白い歯を見せながら、「こんなところで野出合いか、我等と勝負する力はなくとも、百姓娘を誑かすことは得手だとみえる、当節は武士も下がったものだ」
「いや武士ではあるまい、この生白い面を見ろ、此奴はおおかた世間の娘を騙して歩くかどわかしであろう」