Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいどこうしんきょく

冥土行進曲

夢野 久作

Leggi 冥土行進曲 (めいどこうしんきょく) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.807 caratteri · 50 schermate

Aozora Bunko

四

フッと眼をさますと私は見慣れない病院の一室に寝ている。緑色の壁と薄紫のカアテンに囲まれた静かな、暗い、窖のような病室だ。カアテンの間から明るい青空の光りが流れ込んで、寝台の枕元から私の顔の真上に垂れ下っているスイトピーを美しく輝かしている。鼻が痲痺しているせいか芳香がしないようである。そのうちに身体中がビッショリと汗を掻いて来た。身体をモジモジと動かしてみると、フランネルか何かの寝巻を着ているようである。

「……アッ……」

という小さな叫び声が私の枕元から聞えたので、ビックリして振り返ってみると、栗色の髪をグルグル巻にした黄色いワンピースの少女、眼の大きい、唇の赤い、鼻の高い、憂鬱な檳榔樹色の少女だ。

「アダリー」

アダリーは返事の代りに大きな瞬きを一つした。印度人特有の表情の一つであろう。

「きょうは何日……」

「……五月……ジュ……サンニチ……」

「エッ……十三日……ほんとか……」

「……ホント……です……」

と云ううちにアダリーは壁際の小卓の上に置いてある新聞を取って見せた。私は引ったくるようにして日附を見た。東京昼夜新聞一万八千二十一号昭和九年五月十三日……日露国交好転……欧洲再び戦乱の兆。