Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぼんじんでん

凡人伝

佐々木 邦

Leggi 凡人伝 (ぼんじんでん) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 98.944 caratteri · 202 schermate

Aozora Bunko

「何故?」

「米の取れる東洋では米を食っていれば宜いんだ。麦しか取れない西洋では麦を食っていれば宜いんだ」

「それは然うさ。しかし麦が日本へ入って来たら食っても宜いだろう?」

と私は相手の比喩を利用してやった。

「それは構わない」

「見給え」

「しかし麦を食わなければ死ぬというのは間違っている。何うだい?」

「さあ」

「神さまは一視同仁なら、米を食っても麦を食っても叱らない」

「それは然うだろう」

「見給え。ジョンソン博士の信仰は間違っている。変なところへ力瘤を入れたものさ。若し神さまがあるなら、笑っているよ」

「神さまはあるさ」

「それは又別問題だ。君」

と高木君は私を運動場の生垣まで押して来ていた。

一年の三学期の時、日露の時局が切迫した。同級生は開戦論と非戦論に分れた。それが期せずして未信者組と信者組だった。信者の私はソロ/\未信者に生返った証拠に、開戦論を唱えた。

「君、塔へ登って祈ろう」

と或朝安部君が誘った。

「厭だよ。寒い」

と私は断った。

「君は時局の為めに躓いたね?」

「今は左の頬を打つものに右の頬を向けている時じゃない。非戦論なんかやっていれば、国を取られてしまう」