Classici giapponesi con furigana
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しゅっけものがたり
出家物語
Leggi 出家物語 (しゅっけものがたり) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.838 caratteri · 28 schermate
「忙しいの? ちょッと寄ってみたのよ。私、会社をやめるから、これからヒマになるわ。私、ノドがかわいたわ」
と勝手に上ってきて、
「お茶ちょうだいよ」
幸吉は火鉢をはさんでアグラをかいて、
「近頃はノベツ喉をかわかしているじゃないか。会社をやめたのかい」
「うん。内部にゴタゴタが起きて、閥やら党派やら、共産党やらね。うるさいから、やめたわ。これから、どうして暮そうかと思って、私、洋裁まだヘタだから独立できないし」
「それはそうだろうさ。それとも、課長は、よっぽど洋裁がうまかったかい」
「課長は洋裁知らないわ」
「じゃお前だって、てんで洋裁はできなかろうぜ」
キヨ子は気がついたらしかったが、平然たるもので、
「私ね。女学校の頃から習ったから、相当うまいわ。自分の洋装、みんな自分で仕上げるのよ」
「どうだい。会社をやめたら、私と一緒になるかい」
ともちかけると、キヨ子は正直にうけとって、
「そうね。でも、あんた、気持のむつかしい人じゃない。私の主人、とてもやさしい、物分りのいゝ人だったわ」
「洋裁の日は何曜日なんだい」
「月水金だけど、もう行かないのよ。以前は月金で水はなかったけどね」