Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はつこい

初恋

矢崎 嵯峨の舎

Leggi 初恋 (はつこい) di 矢崎 嵯峨の舎 (やざきさがのや) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.226 caratteri · 39 schermate

Aozora Bunko

「叔父様、御機嫌よろしゅう。さようなら秀さん」

ト言ッた声、名残りに残したその声がまだ四方に消えぬ内、姿は船の中へ隠れてしまッた。

無情の船頭、船のもやいを解いて棹を岸の石に突き立てる、船は岸を離れる、もウこれが別れ。父も悄然として次第に遠くなる船を見つめている様子……すると船の窓から貌を出した、誰であろうか、こちらを眺めている、娘ではないか。情を知らぬ夕霧め、川面一面に立て込めてその人の姿をよく見せない,あれが貌かというほどに、ただぼんやりと白いものが、ほんのかすかに見えるばかり。ああそれさえ瞬きをする間,娘の姿も、娘の影も、それを乗せて往く大きな船も櫓拍子のするたびに狭霧の中に蔽われてしまう,ああ船は遠ざかるか、櫓の音ももウ消え消え,もウ影も形も……櫓の音も聞えない,目に入るものは利根川の水がただ洋々と流れるばかり……

*    *    *

娘は江戸へ帰ッてから、ほどなく古河へ嫁入りしたが、間もなく身重になり、その翌年の秋虫気づいて、玉のような男子を産み落したが、無残や、産後の日だちが悪く、十九歳を一期として、自分に向ッて別れる時に再会を約したその言葉を、意味もないものにしてしまッた。