Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

Leggi 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) di 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.985 caratteri · 103 schermate

Aozora Bunko

「おい何うかしたの? ……何処か悪いの?」と言って、掌で背をサアッ/\と撫でてやった。

すると、女は、

「いえ。」と、軽く頭振を掉って、口を圧されたような疲れた声を出して、「極りが悪いから……」と潰したように言い足した。そうして二分間ほどして魂魄の脱けたものゝように、小震いをさせながら、揺々と、半分眼を瞑った顔を上げて、それを此方に向けて、頬を擦り付けるようにして、他の口の近くまで自分の口を、自然に寄せて来た。そうして復た枕に顔を斜に伏せた。

私は、最初から斯様な嬉しい目に逢ったのは、生れて初めてであった。

水の中を泳いでいる魚ではあるが、私は急に、そのまゝにして置くのが惜しいような気がして来て、

「宮ちゃん。君には、もう好い情人が幾人もあるんだろう。」と言って見た。

すると、お宮は、眼を瞑った顔を口元だけ微笑みながら、

「そんなに他人の性格なんか直ぐ分るもんですか。」甘えるように言った。私は性格という言葉を使ったのに、また少し興を催して、

「性格! ……性格なんて、君は面白い言葉を知っているねえ。」と世辞を言った。――兎に角漢語をよく用いる女だった。

そうして私は、唯柔かい可愛らしい精神になって、蒲団を畳む手伝いまでしてやった。