Classici giapponesi con furigana
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ぜんきてんまやけ
前記天満焼
国枝 史郎
Leggi 前記天満焼 (ぜんきてんまやけ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.568 caratteri · 98 schermate
「考えるにも及ぶめえ」
「十両取るか」
「どう致しまして」
「それじゃアあっちへ行くつもりか?」
「云うにゃ及ぶだ、倍も食えらあ」
「きっとか」と黒鴨は眉を縮めた。
「何時如何なる時代でも、もっと食える方へ行くものさ」
「ホッ、ホッ、ホッ」
嘲笑である。黒鴨が嘲笑をしたのである。
が何とその嘲笑、残忍性を帯びていることか。
「そうか、だがな、オイ若侍、そうなった日の暁には、拙者の矢面へ立つのだぞ!」
「よかろう、大将、戦おうぜ!」
「まずこうだあァ――ッ」と凄い気合を、かけると同時に抜いた太刀で、のめらんばかりの掬い切り、若侍の股の交叉を、ワングリ一刀にぶっ放した。――と云う手筈になるところを、飛び違った若侍は、
「こっちもこうだあァ――ッ」と浴びせかけ、飛び違う間に抜いた太刀を、ヌ――ッとのすと振り冠った。
で、無言だ。静かである。ハタハタハタ……ハタハタハタと、夜風に靡く五月幟の、音ばかりが聞こえてくる。
位取った二人は動かない。藤の花の匂い、ほのかであり、十六夜の光、清らかである。こんな奇麗な佳い晩に、二人は斬り合おうとするのであった。
二人は動いて、太刀音がした! 即ち鏘然、合したのである。