Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜんきてんまやけ

前記天満焼

国枝 史郎

Leggi 前記天満焼 (ぜんきてんまやけ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.568 caratteri · 98 schermate

Aozora Bunko

「注ぎっぷりだけはいい気前だ」

「他人のお酒でございますもの」

「御意、まさしく。拙者の酒で……」

するとその時どこからともなく――と云って勿論屋敷内からではあったが、罵り合う声が聞こえてきた。

ガラガラと物を投げる音もした。

7

「おや」と扇女は聞きとがめた。

「何をしたのでございましょう?」

だが大学は黙っていた。とはいえ顔の表情の中には、困ったことをしやアがる、こんな肝心な大事な場合に――と云ったような気振りが見える。

物を投げる音に引きつづき、罵り合う声が聞こえてきた。それも二人や三人ではなく、たくさんの人達が大声で、罵り合っているようである。

「静かなお屋敷だと思っていましたのに、どうやら大勢の人達が、おいでなさるようでございますね」

こう云った扇女の言葉には皮肉の調子がこもっていた。

「女中三人に下僕が二人、閑静な生活をしているよ、だから遊びに来るがよい。――などと仰有ったお言葉も、あてにならないようでございますね」

大学は顔を顰めている。神経質らしいところさえ見せ、不機嫌に盃を嘗めている。

物を投げる音は直ぐ止んだが、罵り声はまだ止まない。

「気味の悪いお屋敷でございますこと。