Classici giapponesi con furigana
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けんきょう
剣侠
国枝 史郎
Leggi 剣侠 (けんきょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 156.961 caratteri · 310 schermate
傍らに籃が置いてあったが、魚は一匹もいなかった。
川の水は濁りよごれてい、藻草や水錆が水面に浮かび、夕日がそれへ色彩をつけ、その中で浮子が動揺してい、それを武士は眺めていた。
「東馬もう何刻であろう?」
少し離れた草の中に、お供と見えて若侍が退屈らしい顔付をして、四辺の風景を見廻していたがそれへ向かって話しかけた。
「巳刻でもありましょうか」
若侍はそう答え、
「今日は不漁でございますな」
笑止らしく云い足した。
「わしの魚釣、いつも不漁じゃ」
「御意で、全くいつも不漁で。……それにもかかわらず先生には、毎日ご熱心でございますな」
「それでいいのだ、それが本意なのだ。……と云うのはわしの魚釣は、太公望と同じなのだからな」
「太公望? はは左様で」
「魚釣り以外に目的がある。……ということを云っているつもりだが」
「どのような目的でございますか?」
「そう安くは明かされないよ」
「これはどうも恐れ入りました……が、そのように仰せられますと、魚の釣れない口惜しまぎれの、負けおしみなどと思われましても……」
「どうも其方、小人で不可ない」
「お手厳しいことで、恐縮いたします」