Classici giapponesi con furigana
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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Leggi 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.035 caratteri · 254 schermate
彼は新八郎の顔を見た。先刻から無言で終始していた新八郎は今も無言で、貝十郎の左側に立っていたが、木洩れの月光に胸と顔とを、薄い紙のように白めかしていた。顔の表情の狂気じみていることは! 二倍に見開かれた大きな眼は、その建物を見据えている。小鼻から口の側へかけて、引かれている皺は紐のように太い! 歯を食いしばっている証拠である。
(これはいけない、喋舌りすぎたようだ。どうも挑発しすぎたようだ。何をやり出すかわからないぞ!)
貝十郎はしまったと思った。
「新八郎氏、向こうへ行きましょう」
なだめるように声をかけた。新八郎は動かなかった。鍔際を握った左の手が、ガタガタ顫えているらしい。刀の鐺が上下して見える。
「新八郎氏、向こうへ向こうへ」
再度貝十郎が声をかけた時、飛び石づたいに歩きながら、話して来るらしい二人の侍の、話し声がこっちへ近寄って来た。主屋と離れて別棟があり、諸侍達の詰め所らしかったが、そこから小姓らしい二人の侍の、手に何やら持ちながら、二人の方へ歩いて来た。
「殺生な奴はこの道具でござる。この貞操帯という奴で」こう云いながら一人の侍は、手に持っていた長方形の木箱を、ひょいと頭上へ捧げるようにした。