Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちよがみのはる

千代紙の春

小川 未明

Leggi 千代紙の春 (ちよがみのはる) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 4985 caratteri · 11 schermate

Aozora Bunko

大きなこいは、白い腹を出して、盤台の中で横になっていました。こいは、よく肥えていました。けれど、もはや水すら十分に飲むこともできなかったので、この後、そんなに長いこと命が保たれようとは考えられませんでした。

春先であったから、河水は、なみなみとして流れていました。その水は、山から流れてくるのでした。山には、雪が解けて、谷という谷からは、水があふれ出て、みんな河の中に注いだのです。こんなときには、池にも水がいっぱいになります。そして、天気のいい暖かな日には、町から、村から、人々が釣りをしに池や河へ出かけるのも、もう間近なころでありました。

あわれなこいは、そんなことを空想していました。

このとき、一人のおばあさんがありました。つえをついて、この橋の上にきかかりました。おばあさんには、心配がありましたから、とぼとぼと下を向いて歩いて、元気がなかったのです。それは、かわいい孫の美代子さんが、体が悪くて、家にねていたからです。

「どうかして、早く、美代の病気をなおしたいものだ。」と、おばあさんは、このときも思っていました。

美代子さんは、ちょうど十二でした。