Classici giapponesi con furigana
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ちはやかんのめいろ
千早館の迷路
海野 十三
Leggi 千早館の迷路 (ちはやかんのめいろ) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.829 caratteri · 50 schermate
……まさか田川の死骸が池の底に沈んでいるのではないでしょうね。ああ……」
春部は、そうでないことをひたすら祈った。
「そうではないと思います。仮りに池の中に田川君の死骸があったとしても、着ている服の裏地があんなにこまかくぼろぼろになって、池の面へ浮きあがって来るためには、少くとも死骸が一年以上経ったあとでなくては起らないですよ。それも、特別に池の底をかきまわしたときに限るので、水が静かになれば、あのような布片もとっくの昔に水と同じ比重になっているから浮いて来ないものなんです。浮いて来る以上は、池の底を何者かがかきまわしているか、さもなければ……さもなければ、あの布片は極く最近、破れやすい新聞紙か何かに包んで池の中へ投げこまれ、その紙包が破れたため、まだ水を十分に含んでいないあの布片は水よりも軽いからああして浮き上って来る――この二つの場合しか考えられないですね」
帆村のこの分析を、春部は感動を以て聞き取った。
「すると田川の死骸は、今池の底に沈んでいないと断言なさるのですか」
「そういう理屈になるというわけです。恐らくそれに間違いありません。が、何故あのように裏地の布片が中から浮いて来るか、この説明は今直ぐにつかないですね。