Classici giapponesi con furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Leggi 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.668 caratteri · 164 schermate
「フウン」
「一体諸君はよく菓子を好かれるが、一回に凡そどの位食べるんですか、と先生が言うから、そうです、まあ十銭から二十銭位食いますって言うと、それはエラい、そんなに食ってよく胃を害さないものだと言われる。ええ、学校へ帰って来て、夕飯を食わずにいるものも有ります、とやったさ」
「そうだがねえ、いろいろなのが有るぜ、菓子に胃散をつけて食う男があるよ」
三人は何を言っても気が晴れるという風だ。中には、手を叩いて、踊り上って笑うものもあった。それを聞くと、私も噴飯さずにはいられなかった。
やがて、三人は口笛を吹き吹き一緒に泊っている旅舎の方へ別れて行った。
この温泉から石垣について坂道を上ると、そこに校長の別荘の門がある。楼の名を水明楼としてある。この建物はもと先生の書斎で、士族屋敷の方にあったのを、ここへ移して住まわれるようにしたものだ。閑雅な小楼で、崖に倚って眺望の好い位置に在る。
先生は共立学校時代の私の英語の先生だ。あの頃は先生も男のさかりで、アアヴィングの「リップ・ヴァン・ウィンクル」などを教えてくれたものだった。その先生が今ではこういうとこに隠れて、花を植えて楽んだり鉱泉に老を養ったりするような、白髯の翁だ。