Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちくまがわのスケッチ

千曲川のスケッチ

島崎 藤村

Leggi 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.668 caratteri · 164 schermate

Aozora Bunko

私達は毛布にくるまり、燈火も消し、疲れて話もせずに眠った。

山の上の朝飯

翌朝の三時頃から、同じ家の内に泊っていた土方は最早起き出す様子だ。この人達の話声は、前の晩遅くまで聞えていた。雉子の鳴声を聞いて、私達も朝早く床を離れた。

私達は重なり畳なった山々を眼の下に望むような場処へ来ていた。谷底はまだ明けきらない。遠い八ヶ岳は灰色に包まれ、その上に紅い雲が棚引いた。次第に山の端も輝いて、紅い雲が淡黄に変る頃は、夜前真黒であった落葉松の林も見えて来た。

亭主と連立って、私達は小屋の周囲にある玉菜畠、葱畠、菊畠などの間を見て廻った。大根乾した下の箱の中から、家鴨が二羽ばかり這出した。そして喜ばしそうに羽ばたきして、そこいらにこぼれたものを拾っては、首を縮めたり、黄色い口嘴を振ったり、ひょろひょろと歩き廻ったりした。

亭主は私達を馬小屋の前に連れて行った。赤い馬が首を出して、鼻をブルブル言わせた。冬季のことだから毛も長く延び、背は高く、目は優しく、肥大な骨格の馬だ。亭主は例のフスマに芋、葱のうでたのを混ぜ、ツタを加えて掻廻し、それを大桶に入れて、馬小屋の鍵に掛けて遣った。