Classici giapponesi con furigana
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まんじ
卍
谷崎 潤一郎
Leggi 卍 (まんじ) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 133.618 caratteri · 258 schermate
そいですさかい十一時半前にはもう別荘い着いてしもてて、お梅どんの方が三十分も後れてやって来て、「えらい早よおましたなあ。ほんまにこない巧い工合に行たことあれしません。さあ、さあ、今の間アにしやはらんと、ぐずぐずしてはったら電話かかって来まっせ」いうて、母屋から大分離れた庭の中に建ってる「何とか庵」たらいう葛屋葺きの家の方い二人追い立てるようにして、そこい這入ったらもうちゃんと枕許に薬やら水やら用意してあるのんで、私は洋服浴衣に着換えて差向いにすわってみましたもんの、これがこの世の見納めやないか、ほんまに死ぬのんやないやろか、「もし間違うてあて死んだら光ちゃん死んでくれるなあ?」「姉ちゃんかてそうやわなあ?」と、互に抱き合うて涙流すばっかりでしてん。その時光子さんは両親に宛てたのんと、私の夫に宛てたのんと、二通の書き置き出して見せなさって、「これ読んでみて頂戴」いいなさるのんで、私も書いといたのん出して互に読み比べてみましてんけど、それかてほんまの書き置きのつもりで、殊に私の夫に宛てたある光子さんの手紙には、「あんたの大事な奥様一緒に連れて行くのん何とも申訳ありません。