Classici giapponesi con furigana
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なんとうたん
南島譚
Leggi 南島譚 (なんとうたん) di Nakajima Atsushi (中島 敦) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7401 caratteri · 15 schermate
次に彼は何か少し悲しい気がした。嫉妬でも憤怒でもない。大嫉妬家のエビルに向って嫉妬するなどとは到底考えられぬことだし、怒りなどという感情はいじけた此の男の中から疾うに磨滅し去っていて今は少しの痕跡さえ見られない。彼は唯何かほんの少し寂しい気がしただけである。彼は又そっと足音を忍ばせて家から遠ざかった。
何時かギラ・コシサンは男子組合のア・バイの前に来ていた。中から微かに明りの洩れるのを見れば、誰かがいるに違いない。はいって見ると、ガランとした内に椰子殻の灯が一つともり、其の灯に背を向けて一人の女が寝ている。紛う方なきリメイだ。ギラ・コシサンは胸を躍らせて近寄った。向うむきに寝ている女の肩に手を掛けて揺すぶったが、女は此方を向かない。眠っているのではない様子である。もう一度揺すると、女が向うをむいた儘言った。「私はギラ・コシサンの思い者だから、誰も触ってはいけない!」ギラ・コシサンはとび上った。欣びに顫える声で叫んだ。「俺だ。俺だ。ギラ・コシサンだ。」驚いて振向いたリメイの目に大粒の涙が見る見る湧いた。
大分長い間経って二人が我に返った時、リメイは(エビルを負かす程の強い女だったにも拘わらず)さめざめと泣きながら、彼が来なくなってからの久しい間に、如何に操を立てるのが苦しかったかを、かき口説いた。