Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なんとうたん

南島譚

中島 敦

Leggi 南島譚 (なんとうたん) di Nakajima Atsushi (中島 敦) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8935 caratteri · 18 schermate

Aozora Bunko

盗って来たのか? と聞いても黙ってニヤニヤしている。神様のものを盗ったりして怖くないのかと聞くと、自分とは部落が違うから大丈夫だ、それに直ぐ後で教会へ行ってお祓いをして貰うから心配はないと言い、そっと左手を差出して私に催促する。そんないらぬ心配よりも早く金を呉れというのである。彼が教会と言ったのは、コロールに在る独逸教会か西班牙教会かの何れかである。其処へ行って祭壇の前に一祈りすれば、古い神々を涜した懼から容易に解放されるのであろう。神祠の大きさから考えても、白人の神の威力の方が優れていることは疑う余地が無いのだから。

二三日で出来る小ものには五十銭を、一週間程度を要するものには一円を、という風に、私は彼に与える代金の相場を大体決めていた。所が、或日、一個の小さな鳩型護符の代金として私が例によって五十銭紙幣を一枚彼の掌に載せてやっても、彼は手を引込めないのである。瞼をつまんで掌の上を見、それから私の顔を見てニヤリとしてから瞼の扉を下したが、紙幣を載せた手は引込めようとしない。此奴め! と思って私が黙って彼の顔を睨んでいてやると(だが、彼は自分に都合の悪い時には直ぐ瞼を下して了うので、其の目の表情は分らない)暫くして又瞼をつまみ上げた。