Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なんぽうゆうしん

南方郵信

中村 地平

Leggi 南方郵信 (なんぽうゆうしん) di 中村 地平 (なかむらちへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.899 caratteri · 42 schermate

Aozora Bunko

そして、忽ちまるで吸いこむように早く、平げてしまう。それから、もっとあとが欲しそうに、キョトンとした顔で檻の外を眺める。

檻の外では金網に両手をかけて、お浜がにやにや笑いながら佇んでいるのである。爺さんは檻の外へ出ると、ザルをお浜にかえしながら、おかしなほどしんみりした声でいう。

「わりも、独り身で寂しかじゃろな。魂のなかけだもんでさえ、夫婦で仕合わせに飯をたべているからな」

相手にかこつけて、爺さんは自分の孤独を嘆きたいのである。檻によりかかったまま、お浜はにやにや笑っているばかりで、返事もしない。

「わりも早くよか婿どんを貰うことじゃ。ほんにわしがもう少し若かったらな」

すると、お浜ははじめて答える。

「よけいな世話ばやかんでくれなはり。わしにはよか人がいるんじゃから」

お浜ははげしい喰ってかかるような声をだすが、眼だけは善良そうに笑っている。お浜は妙に澄んだ、美しい眼をもっているのである。

朝の散歩に出かける途中、旦那がひょっこり裏庭に姿を現わすこともある。旦那を非常にえらい人である、と思いこんでいるお浜は旦那の姿に気がつくと、まっ赤になってしまう。