Classici giapponesi con furigana
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さんぐうがえり
参宮がえり
田中 貢太郎
Leggi 参宮がえり (さんぐうがえり) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7325 caratteri · 15 schermate
忰はいきなり父親の肩に手をかけて揺り動かした。
「お父さん、お父さん」
父親はうす眼を開けた。
「どうした」
「大変なことがあります、起きてください」
父親は起きあがって、睡そうな眼をきょろきょろとさした。
「静にしてくださいませ、なんでもありませんから」
女がもうそこへ来て坐っていた。
「なんだ」
「この舟の船頭は盗人じゃと云います」
「なに、盗人」
父親も声を顫わした。
「盗人でございますが、指一本も差させずに、豊橋へ送りますから、どうか静にしてくださいませ」
父親は何も云わずに女の顔を見た。
「私の伯父と兄は恐ろしい盗人で、今晩貴郎方を殺して、金を奪る目論見をしておりますが、決して指一本も差させませんから、静に寝ておってくださいませ、私に考えがございます」
「この人が、伯父さんと兄さんと喧嘩した後には、何人も世話になる者がないから、世話をしてくれと云います、お父さん、世話をしてやろうじゃありませんか」
父親は忰の顔を見た後に女の顔を見た。
「よし、良いとも、ここを逃がしてくれるなら、お前と夫婦にしても良い」
「どうか静にして、お二人とも横になっておってくださいませ、刃物もさっき海の中へ捨てましたから、たとえあがって来てもまちがいはありませんが、舟へは一足もあげさせないようにします」