Classici giapponesi con furigana
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ふるきミニエチュア
古き小画
宮本 百合子
Leggi 古き小画 (ふるきミニエチュア) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.298 caratteri · 140 schermate
ターミナは云いよどみ、何ともいえず趣の深い、仄かな含羞(はにかみ)の色を口辺に浮べた。
「――十九年昔の今日、卿の父上がこの城へ来られたのです」
スーラーブは、厳粛な心持になって問ねた。
「今、その人は、どうしているのです? 生きているのですか、死んでしまったのですか?」
「生きておられるでしょう。生きておられることを祈ります。あれほどの方が、死なれて噂の伝わらない筈はない」
「そんなひとなのですか」
彼は、見えない、偉(おお)きな何ものかが、心に迫って来るのを覚えた。
「――誰です?」
「…………」
「ツランの人ですか?」
「ツラン人ではありません」
「まさか、この領内の者ではあるまい。――」
「イランの人です。卿の父上は……」
ターミナは、大切な守りの神名でも告げるように、恭しく、スーラーブの耳に囁いた。
「卿の父上は、イランのルスタム殿です」
スーラーブは、始めて自分が、天の戦士といわれている英雄の子であることを知った。ルスタムの名を聞いて畏れない者は、人でない。いや、アザンデランの森の獅子は、ルスタムの駒の蹄の音を聞いて、六町先から逃げたとさえいわれている。