Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ふるきミニエチュア
古き小画
宮本 百合子
Leggi 古き小画 (ふるきミニエチュア) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.298 caratteri · 140 schermate
の字も云わなかったことをスーラーブは始めて知ったのであった。
十
話し終ると、ターミナは、殆ど祈願するように云った。
「それで卿がルスタム殿の息であるのを知っているのは、この世の中で、私と、卿と、二人になりました。どうぞ今迄の心遣いと、尊い血とを無駄にはして下さるな。サアンガンの王の王を作ろうという希いは、サアンガンの女が持つことを許された最大の祈りです」
彼女は、深い吐息をつき、後の坐褥にもたれかかった。
「ルスタム殿を父に持ったとわかったら、卿も母を恨んではくれまい。――あれほどの夫を持ちながら、永い一生にただ一度、会ったばかりで死ななければならない私が、卿をミスラの子だと云う心持は……嘘や偽りではありません」
スーラーブは、期待した朗かな喜びの代りに、何とも知れぬ圧迫を心に感じるのに驚いた。彼は当途のない亢奮に苦しみ、馬に騎って、野外に出た。
スーラーブは、暗くなる迄春の浅い山峡を駆けめぐり、細い月をいただいて、黒い城門をくぐった。
翌朝、スーラーブはだんだん深い水底からでも浮上って来るような、憂鬱な気持で目を醒した。彼は、枕に頭をつけたまま瞳を動かして四辺を見た。