Classici giapponesi con furigana
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ふるいど
古井戸
豊島 与志雄
Leggi 古井戸 (ふるいど) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.433 caratteri · 43 schermate
なに訳はありませんよ。私一人で充分です。この通りもう崩れかかってる地面ですからね。……だが、まあ立合ってみて下さい。もし白骨でも出て来ると、厄介ですから……。実際えたいの知れない穴で……あなたが立合っていて下されば安心です。」
縁側の方へ小走りに馳けていって、着物を脱ぎすてて、褌一つきりになって戻って来た。
彼は鉄棒を持って、移し動かした石に腰をかけていた。
松木は穴の中に踏みこんで、その縁から次第に掘り拡げていった。案外隆々とした筋肉の上に、茂みを洩れてくる日の光が、明るく躍りはねた。発掘は容易らしく、上層の固い地面以外は、みな柔かな黒土で、膝頭ほどの深さになっても同じような土ばかりだった。穴はどこへいったか、掘り荒されて分らなかったが、やがて、がちりと鍬の先に音がして、小石交りの層となった。
「ほう、これは……。」
汗にまみれて、鍬の柄を杖につっ立った松木の眼は、異様に光っていた。
「いやに小石がつめてありますね。」
彼も思わず眼を光らして覗き込んだ。
「そしていやに固まってるんで……。」
小石の層に添って、松木は益々掘り進んでいった。それが次第に円く、径四五尺の円となった。