Classici giapponesi con furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Leggi 古寺巡礼 (こじじゅんれい) di 和辻 哲郎 (わつじてつろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.765 caratteri · 285 schermate
数世紀間使用せられなかった鍵が、さびた錠前に触れる物音は、二人の全身に身震いを起こさせた。廚子のなかには木綿の布を一面に巻きつけた丈の高いものが立っていた。布の上には数世紀の塵が積もっていた。塵にむせびながらその布をほどくのがなかなかの大仕事であった。布は百五十丈ぐらいも使ってあった。
「しかしついに最後の覆いがとれた」とフェノロサは書いている。「そうしてこの驚嘆すべき、世界に唯一なる彫像は、数世紀の間にはじめて人の眼に触れた。それは等身より少し高いが、しかし背はうつろで、なにか堅い木に注意深く刻まれ、全身塗金であったのが今は銅のごとき黄褐色になっている。頭には朝鮮風の金銅彫りの妙異な冠が飾られ、それから宝石をちりばめた透かし彫り金物の長い飾り紐が垂れている。
「しかしわれわれを最もひきつけたのは、この製作の美的不可思議であった。正面から見るとこの像はそう気高くないが、横から見るとこれはギリシアの初期の美術と同じ高さだという気がする。肩から足へ両側面に流れ落ちる長い衣の線は、直線に近い、静かな一本の曲線となって、この像に偉大な高さと威厳とを与えている。