Classici giapponesi con furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Leggi 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 220.431 caratteri · 428 schermate
しかも、そのへやの天井一カ所ばかりではなく、次々と疾風の早さをもって、残らずのへやの天井を同じく長槍の穂先を突き刺してまわったと見えましたが、突然、真に突然、意外な人の姓名を大音声で天井めがけながら呼びました。
「さ! 恒藤権右衛門、降りてこぬと、右門の槍先がこのとおり見舞っていくぞ!」
伝六のおどろいたことはもちろんでしたが、それよりも妻女の青ざめたことはいっそうのもので、へたへたとそこにうずくまってしまったのをみると、右門はさらに勢い鋭く天井を突き刺してまわりながら、ふたたび大音声で叫びました。
「さ! 権右衛門! 男らしく正体を現わさぬか! 降りてこぬと、ほんとうに突き刺すぞ!」
すると、まことに意外でありました。右門のその慧眼を裏書きして、天井裏から答える声がありました。
「恐れ入りました。いかにも正体は現わしまするによって、どうぞ気味のわるい穂先だけはもうお控えくださいまし」
つづいて、みしみしという音とともに、押し入れの中の出入り口を伝わって、果然そこに姿を見せたものは、二日の天井裏籠城で、ほこりとすすによごれ染まっている死んだはずの恒藤権右衛門でしたから、右門は会心そうな笑みをみせていましたが、しかし不平そうなのはあばたの敬四郎で、ややなじるがごとくにいいました。