Classici giapponesi con furigana
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きらこうずけのたちば
吉良上野の立場
菊池 寛
Leggi 吉良上野の立場 (きらこうずけのたちば) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.369 caratteri · 24 schermate
「はっ!」
「取換えた畳か?」
「はっ!」
「何故、繧繝縁にせぬ?」
人々は、玄関を上るが早いか、すぐ鋭く咎めた上野介の態度と、その掛りも内匠頭もいないのとで、どう答えていいかわからなかった。
「内匠を呼べ!」
「はい只今!」
「殿上人には、繧繝縁であることは子供でも知っている。この縁と繧繝とでは、いくら金がちがう?」
「玄関だけは、繧繝でなくてもよろしかろうかと……」士の一人が答えかけると、
「だまんなさい! お引き受けした以上、万事作法通りになさい! 出費が惜しいのなら、なぜ手元不如意を口実に断らんか。お受けした上で、慣例まで破って、けちけちすることがあるか。内匠を早く呼びなさい!」
上野が、こういっていたとき、内匠頭が険しい目をして、足早に家来の後方へ現れて来た。
「何か不調法でもいたしましたか」上野に、礼をもしないでそういった。
「不調法?」上野は頷いて、「不調法だ! この畳の縁は何だっ!」
「繧繝です」
「繧繝にもいろいろある。これは、何という種類か」
「それは知りません。しかし、畳屋には、繧繝といって命じました。確かに繧繝です」
「模様が違う。取り換えなさい!」