Classici giapponesi con furigana
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きらこうずけのたちば
吉良上野の立場
菊池 寛
Leggi 吉良上野の立場 (きらこうずけのたちば) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.369 caratteri · 24 schermate
「ところが、世間の者は、くわしい事理は知らずに、ただ敵討というだけで物を見ます。こういう衆愚の力は、恐ろしいものです。その吹く笛で踊る者が出てきます。それに、浅野浪人も、扶持に放れた苦しみが、この頃ようやく身にしみてきましたから、何かしらやりたいのです。仕官も思い通りにならないとすると、局面打開という意味で、何かやり出すにきまっています。彼らは、位置も禄もありませんから、強いのです。何かしてうまく行けば、それが仕官の種になりますし、失敗に終っても元々です。だから、この際、思い切って上杉邸へお引き移りになったらいかがですか」
「いやなことだ!」上野介は、首を振った。
「わしは、ちっとも悪いことをしたと思っていない。わしと内匠頭の喧嘩は、七分まで向うがわるいと思っている。それを、こんな世評で白金へ引き移ったら、吉良はやっぱり後暗いことがあるといわれるだろう。わしは、それがしゃくだ」
「御隠居も、なかなか片意地でございますな」
「うむ。だが、わしはつまらない喧嘩を売られたとしか思っていない。わしは、喧嘩を売った内匠の家来たちに恨まれる筋はないと思っている」
「理屈は、そうかも知れませぬが」