Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ななしゆびものがたり

名なし指物語

新美 南吉

Leggi 名なし指物語 (ななしゆびものがたり) di Niimi Nankichi (新美 南吉) in giapponese con furigana. JLPT N4. Tocca una parola per il significato.

N4 · base · kanji e kana moderni · 10.312 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

「そんなことは、ありません。ぱっちりした大きな目です。」

と、マタンは答えました。

「あ、そうそう。大きな美しい目でした。そういおうと思っていて、つい、まちがったことをいってしまいました。わたしの口は、きょうはどうか、へんになっていますね。」

と男は、そんなふうに、ごまかしました。そしてさいごに、

「あなたのおかあさんは、世界にふたりといないほど、やさしい、よいおかあさんでしょう。」

といいました。

なるほど、それにちがいありませんでした。マタンにとっては、おかあさんほどやさしい人は、世界じゅうに、ひとりもありませんでしたから。

だれでも、じぶんのおかあさんをほめられれば、うれしくなるにきまっています。マタンはこうして、その男を信用してしまいました。

そこでふたりは、その日の夕方たどりついた道ばたの宿屋に、いっしょにとまることになりました。一日の旅につかれてしまったとみえて、相手の男は、床にもぐりこむとすぐに、大きないびきをかきはじめました。そこでマタンも、それに負けないつもりで、大いびきをかきはじめました。ところが、ほんとうにねむってしまったのはマタンだけで、つれの男はさいしょから、うそのいびきをかいていたのでありました。