Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ななしゆびものがたり

名なし指物語

新美 南吉

Leggi 名なし指物語 (ななしゆびものがたり) di Niimi Nankichi (新美 南吉) in giapponese con furigana. JLPT N4. Tocca una parola per il significato.

N4 · base · kanji e kana moderni · 10.312 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

なぜならマタンは、ジュリーのおかあさんが、病気でながい間ねていること、おとうさんは酒飲みで、めったに家へ帰ってこないこと、ジュリーはパンを食べないで、水ばかりでがまんすることもあること、たまに、よっぱらったおとうさんが家へ帰ってくると、ジュリーは家からおっぽり出されることなど、よく知っていたからでした。

きょうも、たぶん、おとうさんが家へ帰ってきて、ジュリーをおっぽり出したぐらいのことでしょう。マタンは、いつものように、ジュリーをなぐさめてやりたくなりました。けれどいったい、なんでなぐさめたらいいでしょう。ビスケットでも持っていれば、たといそれが一つでも、半分ずつ食べることができるのでしょうが。

ふと、ふりあおいだマタンの目に、まっかに熟れたリンゴの実が、四つ五つ、うつりました。木は、石のへいの中にはえているのでしたが、実だけは、へいの上に見えているのでした。

マタンは、その一つをもいで、ジュリーにやろうと思いました。マタンはなぜ、そんなよそのリンゴを、もごうなどと考えたのでしょう。家へ帰りさえすれば、庭にりっぱなリンゴが、ほしいだけ実っていましたのに。