Classici giapponesi con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Leggi 名人地獄 (めいじんじごく) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.286 caratteri · 301 schermate
「かいくれ見当がつきませぬ」
この時下男の八蔵が、突然大きな嚏をした。彼はいくらかおろかしいのであった。さっきから一人茫然と雪中に立っていたのであった。下男の嚏が伝染ったのでもあろう、一閑斎も嚏をした。
「これはいけない。風邪をひきそうだ。……そろそろ帰ろうではござらぬかな」
しかし平八は返辞をしない。ただ一心に考えていた。
「玻璃窓の旦那、いかがでござる、そろそろ帰ろうではござらぬかな」例の皮肉を飛び出させ、一閑斎はまたいった。
ようやく気がついた平八は、口もとへ苦笑を浮かべたが、「これは失礼、さあ帰りましょう」
三人は耕地を寮の方へ、大急ぎで帰って行った。
とまた一閑斎は嚏をした。
「今夜は嚏のよく出る晩だ」平八は思わず笑ったが、「泥棒も嚏をした事であろう」
「何」というと一閑斎は、そのまま野良路へ立ち止まったが、「出来た! 有難い! 出来ましたぞ!」「ははあ何が出来ましたな」――「まずこうだ。……『泥棒の』と」「ははあなるほど『泥棒の』と」「『嚏も寒し』と行きましょうかな」「『嚏も寒し』と、行きましたかな」「『雪の夜半』」「『雪の夜半』」「何んと出来たではござらぬかな」