Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

Leggi 名人地獄 (めいじんじごく) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.286 caratteri · 301 schermate

Aozora Bunko

「『ははあこいつが噂に高い、辻斬り強盗の張本だな』と、私は突嗟に思いましたが、よい気持ちはいたしませんでした。で、自然と右の手が、懐中へ忍ばせた手裏剣へ、つと走ったものでございます。すると突然妹のお霜が、千切れるような声を上げ、私の袖をグイグイと、三度引くではございませんか! 『うん』と私は呻きました。合図だったからでございます。……富士甚内を目っけたら、三度袖を引くようにと、教え込んで置いたからでございます。素早くこいつが敵かと、躍り立った一刹那『亡霊追分、正体見た! 二つになれ!』とその武士が、サッと斬り込んで参りました。その太刀風の物凄さ、なんで私に避けられましょう。真っ二つにされた筈でございます。ワッ、やられた! と叫びながら、足もとを見ると妹のお霜が、真っ向から胸板まで、切り割られて仆れておりました。身代りになったのでございます。私をかばう一心から、飛び込んで来たのでございます。可哀そうなことをいたしました。でも妹はああいう片輪、なまじ活きておりますより、死んだ方がよかったかもしれません。いえいえそんなことはございません。やっぱり活きておりましたら、何彼につけて頼みにもなり、嬉しいことも楽しいことも、分け合うことが出来ますのに。