Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

Leggi 名人地獄 (めいじんじごく) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.286 caratteri · 301 schermate

Aozora Bunko

「天晴れ見事なお腕前、それに不思議な構え方、お差し支えなくばご流名を、お明かしなされてはくださるまいか」

「へい」といったが旅人は、迷惑そうに肩を縮め、「とんだところをお眼にかけ、いやはやお恥ずかしゅう存じます。何、私の剣術には、流名も何もござんせん。さあ強いてつけましょうなら、『待ったなし流』とでも申しましょうか。アッハハハ自己流でござんす」

「待ったなし流? これは面白い。どなたについて学ばれたな?」

「最初は師匠にもつきましたが、それもほんの半年ほどで、後は出鱈目でございますよ」

「失礼ながらご身分は?」「ご覧の通りの無職渡世で」「お差しつかえなくばお名前を。……われら事は江戸表……」

「おっとおっとそいつあいけねえ」

造酒が姓名を宣ろうとするのを、急いで旅人は止めたものである。

「なにいけない? なぜいけないな?」

造酒は気不味い顔をした。

それと見て取った旅人は、菅笠の縁へ片手を掛け、詫びるように傾げたが、また繰り返していうのであった。

「へいへいそいつアいけません。そいつあどうもいけませんなあ」

造酒はムッツリと立っていた。しかし旅人はビクともせず