Classici giapponesi con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Leggi 名人地獄 (めいじんじごく) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.286 caratteri · 301 schermate
そうしてそこで持ち耐えようとした。しかし三度目の感情が、周作の顔へ閃めいた時、千代千兵衛の構えは全く崩れ、タ、タ、タ、タ、タ、タと崩砂のように、広い道場を破目板まで、後ろ向きに押されて行った。そうしてピッタリ破目板へ背中をくっつけてしまったのである。
追い詰めて行った周作は、この時初めて「カッ」という、凄じい気合いを一つ掛けたが、それと同時に鉄扇を、グイとばかりに手もとへひいた。するとあたかも糸でひかれた、繰り人形がたおれるように、そのひかれた鉄扇に連れ、千代千兵衛のからだはパッタリと、前のめりにたおれたが、起き上がることが出来なかった。全く気絶したのであった。
周作は穏かに微笑したが、審判席へ歩み寄った。舎弟定吉が席を譲った。その席へ悠然と坐った時、道場一杯に充ちていた、不安と鬱気とが一時に、快然と解けるような思いがした。
「平手、平手」と周作は呼んだ。「今の勝負、お前の負けだ」
「私もさよう存じました」造酒は額の汗を拭き、「恐ろしい相手でございます」
「これはな、別に不思議はない。実戦から来た必勝の手だ」
「実戦から来た必勝の手? ははあさようでございますかな」