Classici giapponesi con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Leggi 名人地獄 (めいじんじごく) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.286 caratteri · 301 schermate
周作は感心してうなずいた。
「へい、わっちが待ったなし流で、じっと構えておりますと、相手の野郎はいい気になって、ちょくちょく切り込んで参ります。それをわっちは平気の平左で、切らして置くのでございますな。ビクビクもので切って来る太刀が、何んできまることがございましょう。皮を切るか肉にさわるか、とても骨までは達しません。そこがつけ目でございます。そうやって充分引きつけて置いて、いよいよ気合いが充ちた時、それこそ待ったなしでございますな、一撃にぶっ潰すのでございます」忠次はここでニヤリとした。
「お前と立ち合った人間の中、これは恐ろしいと思った者が、一人ぐらいはあったかな?」「へい、一人ございました」「おおそうか、それは誰だな?」「そこにいらっしゃる平手様で」「ナニ平手? ふうん、そうか」「何んと申したらよろしいやら、細い鋭い針のようなものが、遠い所に立っている。とてもそこまでは手が届かない。こんな塩梅に思われました。技芸の恐ろしさをその時初めて、感じましてございますよ」「しかし試合はお前の勝ちだ」「それはさようかも知れませぬ。わっちの構えは技芸だけでは、破られるものではございません」