Classici giapponesi con furigana
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めいくんただゆき
名君忠之
夢野 久作
Leggi 名君忠之 (めいくんただゆき) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.683 caratteri · 32 schermate
与一がオロオロ声になった。両眼が涙で一パイになった。ガラリと金剛兵衛を投げ出して昌秋の右腕に取り縋った。
「……与一を……お斬りなされませ。お斬り下さいませ。そうして……薩摩の国へ、お出でなされませ。のう……お祖父様……」
「……ウムッ……ウムッ……」
昌秋の唇が枯葉のようにわなないた。涙が両頬の皺をパラパラと伝い落ちた。太刀の柄に手をかけたまま、大盤石に挟まれたように身をもだえた。
「ええッ。手を離せッ……このこの手を……」
「……ハイ……」
と与一は素直に手を離して退いた。斬られる覚悟らしく両手を突いて、うなだれた。
「……その上……その上……お祖父様は御養子……モトは西村家のお方ゆえ、御一存でこの家を、お潰しになってはなりませぬ。この家の御先祖様に対して、なりませぬ。……潰すならば与一が潰しまする。……与一は真実この家の血を引いたお祖母様の孫……」
「ウーム。その文句も父様母様が言い聞かせたか」
延寿国資を静かに傍に差し置いた昌秋は、涙を払って坐り直した。平常のように眼を細くして孫の姿を惚れ惚れと見上げ見下ろした。与一は突伏したまま頭を強く左右に振った。