Classici giapponesi con furigana
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めいしょうまんげつ
名娼満月
夢野 久作
Leggi 名娼満月 (めいしょうまんげつ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.840 caratteri · 37 schermate
のみならず千六は賭博にも勝れた天才を持っていたらしく、相手の手の中を見破って、そいつを逆に利用する手がトテモ鮮やかでスゴかったので仲間の交際ではいつも花形になったばかりでなく、その身代は太るばかり。長崎に来てからまだ半年も経たぬうちに、早くも一万両に余る金を貯めたのを、彼の夜の事を忘れぬように三五屋という家号で為替に組んで、大阪の両替屋、三輪鶴に預けていた。従って三五屋という名前は大阪では一廉の大商人で通っていたが、長崎では詰まらぬ商人宿に燻ぶっている狐鼠狐鼠仲買に過ぎなかった。
その年の秋の初めの事であった。千六は何気なく長崎の支那人街を通りかかると、フト微かに味噌の臭いがしたので立ち佇まった。そこいらを見まわすと前後左右、支那人の家ばかりだから韮や大蒜の臭気がする分にはチットモ不思議はない筈であるが、その頃までは日本人しか使わない麦味噌の臭気がするとは……ハテ……面妖な……と思ったのが大金儲の緒であったとは流石にカンのいい千六も、この時まだ気付かなかったであろう。頻りに鼻をヒコ付かせて、その臭気のする方向へ近附いて行くうちに味噌の臭気がだんだんハッキリとなって来た。