Classici giapponesi con furigana
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うたのたてやましんじゅういっきょく
唄立山心中一曲
泉 鏡花
Leggi 唄立山心中一曲 (うたのたてやましんじゅういっきょく) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.835 caratteri · 61 schermate
(ああ、ちょっと。)
と若奥様が、手で圧えて、
(どうぞ……そればかりは。)
と清しく言います。この手二つが触ったものを、錠前の奴、がんとして、雪になっても消えなんだ。
舌の硬ばったような先生が、
(飛んでもない事――お道さん。)
(いいえ、構いません。)
と若旦那はきっぱりと、
(飛んでもない事ではありません。それが当然なのです。立野さん。貴下が御自分でなくっても、貴下が許して、錠前をさえお開き下さるなら――方法は択びません。短銃なんぞ何になりましょう、私はそれで満足します。)
(旦那様。)
と精一杯で、お道さんが、押留められた一つの手を、それなり先生の袖に縋って、無量の思の目を凝らした。
(はあ、)
と落込むような大息して、先生の胸が崩れようとしますとな。
(貴方、……あの鍵が返りましたか。……優しい、お道さん、美しい、姉さん、……お優しい、お美しい姉さんに、貴方はもうお心が移りましたか。)
と云って、若奥様が熟と視ました。
先生が蒼くなって、両手でお道さんを押除けながら、
(これは余所の娘です、あわれな孤児です。)
とあとが消えた。
(決行なさい、縫子。)
(…………)